一本締めの挨拶と三本締め、一丁締めの違いとは?
2018/08/02
手締め(てじめ)
手締とは(てじめ)とは「手打ちによって締める」が語源であり日本の風習の一つです。
物事が無事に終わったことを祝ってその関係者が掛け声と共にリズムを合わせて打つ手拍子のことで「手打ち」ともいいます。
社会人になると職場や飲み会の席などで挨拶をする機会が出てくると思います。
その際「お手を拝借」「一本締めでお願いします」などの掛け声を耳にします。
しかし社会人になったばかりの人や初めて聞く人にしたらこの手拍子の意味も分からず、リズムに乗れない人もみかけます。
そもそも一本締めと三本締めの違いってなに?
関東締めと大坂締めの違いって?
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江戸締め
一本締め
3回・3回・3回・1回手を打つ
一般的なもの
「お手を拝借」
「イヨーオ」タンタンタン・タンタンタン・タンタンタン・タン
「ありがとうございました」(拍手)
この一本締めには拍数の「3回・3回・3回・1回」は3回の拍が3回で九になり、もう1回手を打つと九に点が打たれて「丸」になることから「丸く納まる」との粋な意味になっています。
三本締め
一本締めを3回行う
一般的なもの
「お手を拝借」
「イヨーオ」タンタンタン・タンタンタン・タンタンタン・タン
「イヨー」タンタンタン・タンタンタン・タンタンタン・タン
「もう1丁」タンタンタン・タンタンタン・タンタンタン・タン
「ありがとうございました」(拍手)
※ちなみに掛け声のこの「イヨー」は「祝おう」が転じたものとされてます。
羽子板市ではこの三本締めの声があちらこちらで飛び交います。
一丁締め
一本締めの変形として1回だけ手を打つ一丁締めもあります。
短気な江戸っ子が三本締めの略式である一本締めからさらに最後に手を打つ「タン」だけを取ったものと言われてます。
そのため東京、おもに関東では軽い打ち上げの際には、この一丁締めを行う機会が多いとされています。
この一本締めと一丁締めを勘違いしている人も多く声をかける本人も分からず「一本締めでお願いします」
と言いながら
「イヨー」
「タン」
の挨拶で終わったりしてあれれ?
とその後にもタタタンが続いていたりする場面も数多くみかけます。
大阪締め
大坂締めは大坂を中心に行われている手締のことで「手打ち」といいます。
一般的なもの
「打ーちまひょ(打ーちましょっ)」パンパン
「もひとつせ」パンパン
「祝うて三度」パパン パン
「おめでとうございます」(拍手)
その他にも福岡市の博多では「博多手一本」と呼ばれる独自の手締めや、伊達政宗ゆかりの手締め「伊達の一本締めも存在したりします。
その土地ゆかりの手締めがあるのも非常に面白いです。
神話にルーツ
手締で手を打つ「けじめ」は実は日本の神話にルーツがあります。
手を打つという記述が登場する最古の文献は古事記の「国譲り神話」です。
天照大神から出雲の国を譲るように言われた大国主命(おおくにぬしのみこと)が長男の事大主神(ことしろのみこと)に返答を求めたところ、拍手を打って承知したという神話から拍手を打つことで物事が落着することになり、拍手を打つ・手を打つ・手締めとなり手締のルーツは事大主神とされているそうです。
「手を打つ」は現代用語でも決着の意味です。
まとめ
本来は三本締めの方が正式な手締めとされており、一本締めは少し略式の方法になります。
そのため来賓などのいない内輪の関係者だけの宴会の席などでは一本締めや一丁締めをするケースが多いようです。
宴会の挨拶最後に行われる手締には「主催者が無事に会が終わったことを感謝して行う」というのが本来の意味合いですので、来賓などに手締をお願いするのは失礼に当たります。
またもし自分が来賓挨拶等で依頼されても断るのがマナーですので気をつけましょう。