セミの鳴き声と種類 これでセミの一生がまるわかり
2019/01/09
セミの種類と鳴き声
閑かさや岩にしみ入る蝉の声 芭蕉
鳴く昆虫として知られ、短命と思われているが、実は卵から成虫までの寿命は、昆虫の中で、最も一生が長いのです。
夏に大きな鳴き声を上げるセミ、皆さんはどれぐらいの種類のセミが存在するかご存知ですか?
今回はそんなセミの一生と種類、鳴き声について解説していきます。
セミの鳴き声
セミの一生は短く、夏が来たと思うのはこのセミの鳴き声を聴く時ですね。この鳴き声、鳴くのはオスです。メスは鳴きません。
体のつくりが違っているためです。セミのおなかの中は空洞になっています。オスのほうは、この空洞の共鳴室に発音膜を震わせて鳴き声をだしているのです。
この鳴き声は、オスの求愛行動なのです。メスのおなかは、産卵管があり、卵がはいっています。鳴く機能がないけれど、同じ種類のオスが鳴く声を感じとれる膜があるのです。
だから、この鳴き声でオスに巡り合って子孫をのこせるのでしょう。
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セミの種類
日本には、北海道から沖縄まで約30種類以上のセミがいます。
鳴き声や鳴く時間帯によって種類が違います。
また、セミの種類によって生息地も違います。
セミの種類 | 鳴き声 | 鳴く時期(時間) | 生息地 |
ミンミンゼミ | ミーン、ミンミンミン | 朝・午後 | 関東低山地・高い所 |
クマゼミ | シャーシャーシャー… | 午前中 | 九州 |
アブラゼミ | ジージリジリジリ… | 日中・午後 | 日本全国 |
ツクツクホウシ | オーシツクツクオーシ | 日の高い時間 | 関東・関西 |
ニイニイゼミ | ジー―――――― | 早朝~夕方 | 日本全国 |
ヒグラシ | ケケケケ…カナカナ… | 朝、夕暗くなってから | 平地・林の中 |
ヒメハルゼミ | シャーシャー…(一頭が鳴き始めると、周囲のセミが一斉に合唱 | 蒸し暑く、曇りがちな天候の時 | 本州・四国・九州・南西諸島 |
エゾゼミ | ギー…(低音) | よく晴れた午前中 | 長野県、南東北 山・雑木林 |
コエゾゼミ | ジー……(甲高い) | 北海道、四国 エゾゼミより高い山 |
|
エゾハルゼミ | ミョーキキン・ミョーキン…ケケケ… | 北海道・山の雑木林 | |
ハルゼミ | ギー、グエッグエッ…グエッギー… | 午前中、天気のいい日 | 本州から九州 関東・松林 |
チッチゼミ | チッチッチッチ… | 日中 | 北海道南部、本州 松林 |
クロイワニイニイ | チ~~~~チッチッチ… | 早朝~夜 | 奄美大島・沖縄諸島 |
イワサキクサゼミ | ジー… | 1日中 朝、夕方 |
石垣島、西表島周辺草むら |
17年のセミの一生
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レアなところで、周期ゼミという種類のセミ、アメリカの中西部から東部、南部にかけてのみ発生する種類のセミが存在します。
この種類のセミは毎世代、正確に17年または、13年で成虫になり、大量発生します。周期年数が素数であることから、素数ゼミとも言うそうです。
17周期の17年ゼミが3種類、13年周期の13年ゼミが4種類。なお、17年ゼミと13年ゼミが共に生息する地方はほとんどないといわれています。
◎様々な種類のセミがいますが他の周期をもつ種類と交雑すると、その周期が乱れるため、同じ周期を維持できなくなります。
したがって、交雑の種類は大量発生年からずれて発生するようになり、希釈効果を受けられなくなるか、配偶相手をみつけにくくなります。
そのため、他の周期と重なりにくい素数周期の種類のセミが生き残ったようです。
セミの一生
セミの一生は、まず枯れ枝に卵を産みつけます。尾の先についている針を枝に差し込み、枝に小さな穴をあけます。その穴に細い小さな卵を産みます。
お尻の針に内側が細い管になっていて、その管から卵が出てきます。卵をいくつか産むとメスは少し上の方に登って、また、同じように産みつけます。
これを繰り返し、1匹のメスは100~200個の卵を産みます。ヤドリバチという虫はセミが産んだ卵に自分の卵を産みつけます。
セミの一生の中で最大のピンチです。セミの卵より先にヤドリバチの卵がかえり、そのヤドリバチの子供がセミの卵をえさに大きくなります。
これではセミの一生は始まらずセミが産んだ卵は全て生まれるわけではないのです。だから多くの卵を産んでいくのですね。
夏の頃に産みつけられた卵が秋になると、白からうす黄色にかわります。そろそろセミの赤ちゃんが出てくる頃です。うすい皮に包まれているのでこの衣を脱いでセミの赤ちゃんが出てきます。
セミの一生のはじまりです。皮を脱ぐと、地面に向かい前足でやわらかい地面を掘ります。そして、真暗な地中へ戻っていきます。
前足は太くとがった爪がついています。土を掘りやすいようなしくみになっています。
トンネルを掘りながらお腹がすいたら、木の根から樹液を吸います。そうして成長していきます。体の皮が窮屈になると、脱皮をします。
脱皮は、セミの一生の間、4回繰り返し、地面の中で大きく成長します。子どもは地中に約5年間暮らします。
6年目の夏、外が暑くなると、地面にもその暖かさが伝わるので、外に出る準備をします。地面の上に向かって木のそばに縦のトンネルを掘ります。
トンネルが崩れないように木の根から吸った汁を口や足から出し、土を湿らせ、前足で壁にギュッと押しつけ固めます。汁がなくなると、また木の根から汁をすって、おなかにためます。
地面近くになると、天上2㎝くらいまで残し、登ったり、降りたり、しながら地上に出る様子を伺います。雨が降らない、天敵がいない、人間に見つからない、など良い条件の時に夕方~早朝に穴から出てきて、近くの木によじ登ります。
それから2時間くらいすると、背中に割れ目ができて、そこから少しずつ、頭から体を出します。セミの成虫は茶褐色ですが、生まれたてのセミの成虫は透明の白青緑色(エメラルドグリーンブルー)、この世で今まで見たことのない美しい色で、神秘的です。
言葉で表現するのは難しいので、是非、セミの幼虫を採取して、観察して欲しいです。朝方、4~5時頃観ることができるでしょう。
セミの一生の始まりでした。
セミの一生は次の段階へ
セミの羽化が終わってすぐには飛べません。体がまだ固まっていないからです。2~3時間たつうちに、色づいて体もかたくなります。
クマゼミという種類のセミは明けきらない空に飛び立ちます。アブラゼミという種類のセミは翌日の午後ようやく飛び立ちます。
羽化したばかりのセミは小さな声でしか鳴きませんが、4日頃には大声で鳴けるようになります。成虫になると、命はわずか半月です。
メスは、オスのそばに飛んでいき、メスをみつけたオスは、いつもと違う調子で鳴きながらメスを誘い、交尾をします。メスはその後、枯れ枝をさがし、何か所かに100~200個の卵を産んで、産み終わると、セミの一生が終わります。
地球の生物、いのちあるものの儚さと尊さは、小さな昆虫から教えられます。更には、私たち地球人が共存するうえで、環境や、生活圏を考える謙虚な心が必須ではないかと思わずにはいられませんね。
今回はセミの種類や鳴き声の特徴、そしてセミの一生についてお話しました。次の夏にセミの音を聴いたときには少し気を止めてみるとまた違った楽しみがあるかもしれません。
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